伊坂幸太郎の「オーデュボンの祈り」を読みました。伊坂幸太郎のデビュー作とのことです。伊坂幸太郎はモーニングの巻末でもモダンタイムスってのを連載してますね。こっちは見てないんですけど。
主人公は以前システムエンジニアをやっていた「伊藤」という青年。28歳。舞台は「荻島」という江戸以来外界から遮断された空間です。ここは異世界だよーという舞台装置です。その荻島に佇む、人語を操り、未来が見えるカカシの優午が殺されてから、物語は転がり始めます。
このオーデュボンの祈り。なかなか夢中になりましたよ。ワタシの好きな類の物語です。つまりミステリーだと思うのですが、「これは複線ですよー」と明示的に伏線が張られる。そして、読み手はアタマのフックにそれを何気なく引っ掛けておく。が、その複線が何を示しているのかはもちろん最終章まで引っ張られます。主人公もわからないし、しょっちゅうミスリードする。読み手もあれこれ想像を膨らましたりしてみる。そして、最後の最後に電気がビビッと通電するようにして、あるいはドミノがドダダーと倒れるようにして、絵を描いてくれるわけです。まるで1つのプログラムのようです。
「その絵が、これまでの複線や物語そのものをどれだけ内包できているか」。あるいは「その絵が物語と独立して圧倒的に美しいか」なんてのがワタシのモノサシのひとつなのですが、オーデュボンの祈りは、読後、拍手喝采でしたよ。非常に面白かったです。
グダグダと設定がどうだ、複線がどうだという説明もありますが、とりあえず個性あふれる登場人物にとても惹かれます。えげつないバイオレンス担当の城山。悪意の塊の警察官です。サイテー。未来の見えるカカシの優午。未来が見えるくせに頼りないし、殺される。未来見えるんじゃないの?奥さんが殺されて頭がおかしくなっちゃった絵描きの園山。非常に切ないです。奥さんが殺されてから嘘しか言えなくなっちゃったんです。ほかにも個性的な登場人物はわんさといます。
サーカスのピエロがボールの上でバランスをとりながら前へ進んだり後ろへ下がったりと滑稽に演じますが、登場人物みんなでくんづほぐれつしながら、いっぺんにそのボールに乗っかっているかのようです。乱暴に言ってしまうとそんな物語。はまると1日で読めちゃいます。オススメですよ










