この漫画、ビジュアル的な意味でも、またその内容においても非常に表現が強い漫画です。なんというか作品としてためらいがないというのが、初めて読んだときの印象でした。
<キャラクターからみてみる>
この漫画の主人公である中学校教師、鈴木先生は有体に言ってしまうとロリコンです。もうそれだけで家内はどん引きで「もう買ってくんな」という状況なのですが、正直ワタシも(3巻まで買っといて言うのもなんですが)ちょっと抵抗があります。次の4巻を買おうかブックオフに送り出すか迷っています。
しかし、自身の作品に正直に向かい合っている武富 健治(※略敬称)はこのような、物議を醸し出しそうな人物像の構築にもためらいがありません。
おそらく武富 健治の描く世界においては、鈴木先生という「そんな人物像」はどうしても必要で、然るべき設定なのだと思います。
そして、それは功を奏してか、彼―鈴木先生は見事に読者をひきつける人物として描かれています。ワタシは、彼に対してよい意味で「嫌悪感」を抱くし、また、彼の生徒や、同僚に対する執拗な分析には「親近感」さえ沸きます。つまり、この人物が物語の中に存在するだけでガッツリ物語に引き込まれてしまうわけです。
(表紙を見てもそうですが、彼は「常に」と言っていいほど、ショックを受けている顔をしています。そしてそれは、読者の心の揺さぶるには十分すぎるほどの描画表現です)
もちろん、そのように「キャラが立っているだけの漫画」ではありません。と言うか、すべてのキャラクターは、押し並べてかなり細かいところまで作りこまれているのではないでしょうか。そんなクオリティが武富 健治の作品ではデフォルトなのでは?と思ってしまいます。
生徒たち1人〃を見てみると、これはねぇだろwという中学生らしからぬ行動や発言がよく見受けられますが、ワタシの中学生時代と今は全然違うでしょうし、最近の中学生はこんななのか?とも本気で思ってしまいます。
要は鈴木先生は、1つの物語なので、その登場人物がある程度リアルだろうと全くの虚構だろうと構わないので、うまく騙してくれればいいわけです。そしてそれは見事に成功しています。
<ストーリーからみてみる>
ストーリーにおいては、非常によいという評価です。これにつきましては好みで分かれるということはないと思いますし、非常に良質です。
1巻1話目の1コマ目でそれは物語ってくれます。ワタシにとっては背筋がゾっとするほど上手だなと思います。ストーリーと言うか、物語のからくりが秀逸です。
そして、それは万人に理解できる(可能性のある(可能性といったら元も子もないですが))"人の気持ち"をからくりのエンジンとしています。
武富 健治と言う作家、人物の気持ちの描写に病的なまでに執拗なのですが、あ、というか、気持ちではないです。人物の「考察」の描写に関しては病的です。
そしてそれが、物語を面白くするひとつの材料だと気づくのが、1巻1話目の1コマ目です。なるほど、どれだけ表現を強くしても、土台がしっかりしているから小手先で書いているようには見えないんですね。
<絵からみてみる>
これは個人的な感想になってしまいますね。嫌いではないですけど、描画が重くて、体調がすぐれない時はみたくありません。単純にそう思いました。常に読みたいときに読めない。
まず、体調というハードルを越えてからでないと読み返せません。
<総評>
レビュー☆☆☆☆をタグとして打ちます。
第1巻だけ買ってみるのもいいかもしれません。多分2巻、3巻と買ってしまうことになるかと思います。どちらかというと、買わずにいるという我慢のほうが大変かもしれません。



